世間には健康に関する様々な情報があふれています。しかし、その全てが正確だとは限りません。誤った知識がもとで不安な気持ちになったり、逆に手遅れになったりするのは避けたいものです。そこで今回は三者択一のクイズを10題出題します。クイズを解いて解答・解説をお読みいただければきっと正しい知識が身につくはずです。
以下の10の質問について、それぞれ正しいと思われるものを1つ選んでください。
①肥満
1.肥満は必ずしも生活習慣病の危険因子ではない
2.腹八分目を続ければ必ず痩せる
3.テニスなどの激しい運動を続ければ痩せる
②高血圧
1.健康な人の血圧は常に変化している
2.塩分制限をすれば必ず血圧は下がる
3.若い頃からの高血圧は病気とは関係しない
③高脂血症
1.コレステロールが高いのは食事の影響が大きい
2.コレステロールが高いだけなら放っておいてもいい
3.コレステロールが高くても症状は何も出ない
④ガン検診
1.内視鏡(胃カメラ)よりレントゲン検査の方がガンを発見するには優れている
2.胃のポリープは放っておいていい
3.便の潜血反応が陽性なら大腸ガンの確立が高い
⑤心電図
1.虚血性変化という診断は心臓に必ず病気がある
2.脈が1分間で89なら頻脈である
3.不完全右脚ブロックと診断されても放っておいていい
⑥胸のレントゲン
1.肺ガンの早期発見に役立つ
2.肺結核の早期発見に役立つ
3.石灰化が見られるという診断は放っておいていい
⑦検尿
1.尿潜血反応が陽性なら膀胱に病気がある
2.前立腺ガンは血液検査で分かる
3.尿にたんぱくが出ていれば腎臓に病気がある
⑧血糖
1.食後に採血すれば140あっても正常である
2.糖尿病は必ず太ってくる
3.糖尿病は遺伝とは関係ない
⑨肝機能
1.γ-GTPが高いと肝臓に障害が起きている
2.脂肪肝を放っておいても肝臓ガンにはならない
3.検診の前に酒をやめておいた方がいい
⑩喫煙
1.50歳を過ぎて禁煙しても無駄である
2.喫煙はほとんどすべてのガンの危険因子である
3.軽いたばこを吸っている方が安全である
解答と解説
①正解:1
身長と体重から理想体重を出して肥満を判定すると、肥満の4割くらいの人は何も病気を持っていません。食事を8割くらいに減らしても基礎代謝(じっとしている時)のエネルギー消費を脳の方でコントロールして減らすので、体重は減少しません。息が切れるような激しい運動は脂肪がなかなか燃えないので、早歩きくらいの適度な運動の方が体重を減らすことができるでしょう。
②正解:1
血圧は心臓の1回の収縮ごとに変化しています。さらに1日、1週間、1カ月と生活のリズムによっても血圧は変動しています。夜間下がって昼間は高くなるのが普通です。血圧の変化が全くなくなってしまうのは、糖尿病などの自律神経障害の時に起きてきます。塩分制限だけで血圧が下がることは少ないでしょう。
③正解:3
血液中のコレステロールが高くても自覚症状はありません。これは血圧と同じです。症状が出る時は心筋梗塞や脳梗塞といった臓器の症状になります。高コレステロール血症は、実際には遺伝的な要素が強く、薬でないと下がらないことが多いです。
④正解:2
早期胃ガンを発見するには内視鏡が優れいますが、健康診断で全員に行うには費用と時間の問題があり実際にはできません。胃のポリープのガン化は非常にまれですが、大腸ポリープはガン化することが多いので摘出しなければいけません。便の潜血反応は大腸ガンの早期発見に有効ですが、陽性だから即、大腸ガンとい可能性は低いでしょう。
⑤正解:3
心電図異常がイコール心臓に異常があるということではありません。特に女性では心電図異常がありながら病気がないことも多いです。1分間に脈が100以上なら頻脈といいます。心臓の中で電気の伝わり方が少しおかしい不完全右脚ブロックだけなら治療はいらないですが、病名としてつけられることが多いのです。
⑥正解:3
健康診断で行われる胸のレントゲン写真だけでは肺ガンを早期に発見することはできません。肺結核も発病数が少ないために、現在の健康診断の方法では限界があります。肺ガンを早期に発見するなら、肺のヘリカルCT(高速らせん型コンピューター断層撮影装置)が有効です。喫煙者は定期的に肺のヘリカルCTを受けるといいでしょう。
⑦正解:2
尿潜血反応の陽性は、健康診断で最も多い異常ですがほとんどが病的な意味を持ちません。たんぱく尿は過激な運動の後などで出ることがあり、健康診断の前日には無理な運動をしない方がいいです。
⑧正解:1
食後血糖は健常者でも上がるので、測定前には12時間の空腹が必要です。遺伝的な要素を持つ糖尿病では痩せていきます。
⑨正解:2
γ-GTPは非常に感度が高く、飲酒で100前後に上がってしまいます。GOTやGPTといった肝臓の細胞が壊れて出てくる酵素とは意味が違います。健康診断には適さない検査項目で、脂肪肝そのものは肝臓ガンとは関係ありません。
⑩正解:2
禁煙はやめたその日からガンになる確率が下がります。軽いたばこでも本数が増えるので、ガンのリスクを減らすことにはなりません。