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健康情報

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2014年02月肥満と「肥満症」は大違い

 太ってきたからといって、それがすぐに「肥満症」という病気で治療が必要というわけではありません。肥満症は肥満であり、かつ高血圧や高脂血症、糖尿病などの健康障害がある場合、もしくは内臓脂肪が蓄積している場合です。

 肥満かどうかの基準には「BMI(Body Mass Index)=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」という指標が国際的にも広く使われており、日本では25以上だと「肥満」と判定されています。しかし、これはあくまでも身長と体重だけから割り出した数字であり、肥満症としての治療が必要かどうかの判断には不十分です。BMIと併せて肥満症の判断基準とされている内臓脂肪蓄積についてはウエスト回りが男性では85cm以上、女性では90cm以上を1つの目安としています。特に、手足が細いのにおなかだけがぽっこり出ているという人は要注意です。日本肥満学会の調査によると、肥満者が健康障害を起こす確率は正常体重者に比べて糖尿病が約5倍、高血圧が約3.5倍という結果です。肥満を放置することで内臓脂肪がさらに蓄積し、脳血管障害や心血管障害といった命にかかわる病気へと発展する危険性があるのです。「肥満はあらゆる血管障害の川上にあり、『肥満症』という病気の危険性を意識すべき」とも言われています。

 

欧米では薬物治療や手術も

 欧米では「肥満症」を定義していないが、BMIが30以上の人は治療が必要だという判断を下されています。食事療法や運動療法に加えて、日本では認められていない薬物療法も行われています。現在認可されてるのは、ゼニカンとシブトラミンという2つの薬です。ゼニカンは消化管からの吸収を抑える薬で、シブトラミンは食欲を抑制する薬です。

 BMIが40を超えるような重症の場合は、少しずつしか食べられないようにする手術を施すケースもあります。ただ、いずれのケースも食事療法と運動療法が前提にあるのは言うまでもありません。現時点ではBMIの値だけを比較すると、日本人は欧米人よりもはるかに低いです。しかし日本人の食生活が欧米化してきたことで糖尿病の患者数が20年前の2倍に増えるなど、危険な兆候がはっきりとうかがえるのです。米国のようにチャンスを逸する前に日本はこの危険トレンドを早く阻止する必要があるのです。重大な病気が発生する手前で適切な処置をしてせき止めれば、医療経済に及ぼす影響も非常に大きいのです。諸外国の医療事情と比較して概算すると日本では肥満をなくすことで、約1兆3500億円の医療費を節約できるという試算もあります。これからは、肥満を単に「太っている状態」と軽く捉えるのではなく「肥満症」として医学的に定義づけられた1つの病気の前段階として、きちんと認識していく必要があるでしょう。