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健康情報

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2013年05月風疹について

風疹“ふうしん”

 最近、ニュース等で風疹“ふうしん”という言葉を今まで以上によく聞く機会が増えました。風疹とは、ご存じウイルス感染症の一種で、風疹ウイルスによる急性熱性発疹性疾患です。“三日はしか”としても知られている症状で、感染症法に基づく五類感染症に指定して届出の対象とされています。

 風疹にかかった人は免疫ができるため、二度とかかることは無いといわれることが多いのですが、年月を隔てて、免疫が低下していた場合や、がん治療などで免疫力が落ちた場合など、ごくまれに大流行シーズンとともに再発することがあるようです。以前5~9年ごとに大流行が起きており、2005年以降は急速に患者が減少していたのですが、2012年に入り、関西や首都圏を中心に感染が拡大し2013年4月の時点では東京都を中心に都市部で大流行中との報告があります。

 伝染力は水痘や麻疹(はしか)より弱いのですが、妊娠初期に妊婦が感染した場合の先天性風疹症候群が大きな問題となります。効果的な治療法は無く、ワクチンによる予防が最も重要であるといえます。

 

原因は?

 感染者の鼻汁に含まれる風疹ウイルスによる飛沫感染または直接接触感染によるケースが多く、伝染期間は発疹の発症前1週間から発疹出現後4日間といわれます。

 

症状

 次の様な症状に特徴があります。

 ・潜伏期間は2~3週。

・初期症状としては微熱、頭痛、倦怠感、鼻水、せき、痛みのないバラ色の口蓋斑点。顔や耳の後ろ辺りから、赤い点状の紅斑(発疹)が全身に広がり、多くは 3~5日程度で消える。

・発症者の約25~50%に、38~39度前後の発熱が3日程度続く。

・耳介後部、後頭部、頚部のリンパ節の腫れ。発疹出現5~10日前から数週間にわたりみられる。

・眼球結膜の軽度充血や、肝機能障害が見られる場合がある。

・小児では咽頭炎のみがみられたり、無症候性感染(症状がなく感染していることを自覚しない感染状態)であることも多い。

 

合併症

  妊婦の妊娠初期の感染は胎児に先天性風疹症候群という症状を引き起こす危険性があるといわれています。妊娠10週までに妊婦が風疹ウイルスに初感染すると、90%の胎児に様々な影響を及ぼすといわれ、これは先天性風疹症候群と呼ばれている症状で、典型的な三大症状は、心奇形・難聴・白内障が代表的です。11週~16週までの感染では10~20%に発生するとの数字が出ているそうです。妊娠20週以降の感染で発生することはまれとされています。

 

ワクチン接種を

 特異的な治療法はなく、対症療法しか手が無いとされています。つまり、病気によって起きている症状を和らげたりなくしたりする治療法しかないという事になります。

 ワクチンによる予防接種という方法も考えられます。以前は中学2年生頃に接種が行われており、特に1979年4月2日~1987年10月1日に産まれた人は法律の変わり目の時期に中学校時代を過ごしているため、予防接種を受けていない人が多いという話もあるのですが、但し自治体によっては移行期間を設けて、法律の変わり目に生まれた人は従来どおりの接種時期でも受けることが出来るようにした自治体もあるそうです。予防接種の徹底したアメリカ等では日本人の入国に際して風疹の予防接種を行う指導がなされていたりするという話もあります。

 妊娠可能年齢の女性で風疹抗体が無い場合、ワクチン接種は先天性風疹症候群を予防する観点から、強く推奨されているのですが、妊娠中のワクチン接種は避けたいもの。ワクチン接種後は2ヶ月間の避妊が必要になるとされています。2006年4月以降、新規にワクチンを接種する1歳以上2歳未満の幼児からは麻疹・風疹混合ワクチンを接種することとなりました。授乳中の母親がワクチン接種を受けた場合、乳を飲んでいる赤ちゃんに、ワクチン・ウイルスが感染し赤い発疹が出る事があるが、これは、重い合併症は起こさないとの事。

 米国、韓国、オーストラリア、カナダ、欧州諸国など、麻疹・風疹の予防接種を2回行う国は少なくないようです。もし米国に永住を希望される人がお見えになるようでしたら、指定の予防接種を受けていない事には、永住は難しいようです...。