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健康情報

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2014年04月ひどい花粉症

花粉症のAさんは、五十肩を患い整形外科で痛み止めの注射を打ってもらいました。すると、ひどかった花粉症の症状がすっかり消えてしまいました。いったいどういうことなのでしょうか。

花粉症は1度発症すると毎年決まって花粉が飛ぶ時期には症状が出てしまう厄介な病気です。対策としては、花粉にできるだけ近づかないことが1番ですが社会生活をしている以上、外に出ないわけにもいきません。マスクや帽子でも防ぎきれないので、どうしてもこの時期だけは薬で症状を抑える必要があります。花粉症がウソのように治ってしまったというAさんだが、恐らく打った注射はステロイドという薬。だが、この薬の話の前にまず基本的な治療法から説明しましょう。

 

 基本は飲み薬と局所噴射剤

花粉症の基本的な治療法は薬の服用です。薬は、花粉が飛び始める2週間前から抗アレルギー薬を予防的に飲み、花粉が飛んで症状が出始めたら抗ヒスタミン薬や鼻への噴射剤などを追加していくのが一般的な処方です。薬は、毎日きちんと飲まないと効果がありません。これが面倒なのですが、最近は夜に1回飲むだけで済む薬も出ています。また、薬を飲むと眠くなる人は眠くなりにくい薬もあるので医師に相談すると良いでしょう。

いずれにせよ、症状がひどくならないうちに服用を開始することが重要なので、気象情報などを頼りに早めに医療機関で受診することを心掛けましょう。軽度の花粉症なら、以上のような方法でかなり楽になり、この時期を乗り切ることができます。ところが、重症の場合は鼻粘膜の炎症がひどく基本的な処方で薬を飲んでいても効かないことがあります。このような場合は、ステロイドという炎症を抑える力の強い薬が使われます。確かに、ステロイドは抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬などに比べると非常に効き目が強いです。Aさんの花粉症が治ったのも、実は五十肩の痛みを抑えるために打ったステロイドが持続的に効果を発揮し、花粉症の症状を抑えてしまったためと考えられます。しかし、ステロイドは副作用が出ることがあるため使い方で議論が分かれています。外科や整形外科においては手術や関節炎、五十肩などの痛みや炎症を抑えるために頻繁に注射を打つこともあります。

 

重症に効くステロイドは慎重に

Aさんのように注射1本で花粉症がすっきり治まるのであれば、患者にとってこんなにありがたいことはないでしょう。ただし、単なる花粉症の治療においてはステロイドの注射は1番目の選択肢ではありません。経験のある医師が慎重に行う必要があります。

ある病院では、学校の先生やゴルファーなど症状がひどくて仕事に差し障りが生じる人、あるいは重要な会議や試験などでこの時期だけはなんとか乗り切らなければならない状況にある人に限って行っています。注射ほどの効果はありませんが、ステロイドの入った飲み薬や鼻の噴射剤などもあります。これらも効きが良く、副作用の心配は比較的少ない薬なのでひどい症状が治まらない場合は医師に相談して試してみるといいでしょう。